5話 予感
今日の夢・・
どうしても頭から離れない・・・
おじいちゃん・・
死んじゃうのかなぁ・・
あんなやついらない!
って思ってたけど・・
でも
でも
死ぬって・・ いやだな・・
教室からみる窓の外はいつもと同じ風景
何も変わらない
何も変わらないのに
あたしは ・・・
何だ?
未来予知?
いやいや@@ アニメじゃあるまいし@@
この前のは偶然で
たまたま同じような光景があったから
声かけて・・
助かって・・
・・・
ホントよかった
「よぉ!!」
うわぁあぁぁ!!!
毎回毎回毎回毎回毎回毎回
バカでかい声かけてきて!!!
「 なに?」
「 なに?」
けんじはあたしの真似してきた(怒)
んで ケラケラ一人で笑ってる(怒)
「なによぉ!!!」
たぶん初めてこのクラスにきて
こんな声だしたのかも
クラスみんながこっちを振り返る
はずかしい@@
「・・・ で なんなのよぉ!」
「 今日は 陸上 なしだってさぁ~
なんか 先生ぇ会議らしいわぁ~ 」
っていうか あたし陸上部じゃないし!!
「 なぁ~ ばーちゃんが
うちにこいってさぁ~
なんか お前のばーちゃんに
渡したいものがあるからだってさぁ」
おばあちゃん・・・
「 ねぇ! 花火大会って この街あるの?」
「はぁ? いきなり何!!?? 花火大会?」
びっくりしたけんじの顔久しぶり見たかも
「 ん~~っ・・昔
なんかあったみたいだけど もうやってねぇよ」
だよね・・
おじいちゃんとおばあちゃんに
もう一度
もう一度だけ
見せてあげたいな・・・・
「 ねぇ・・ 花火大会ってできないかな?」
「はぁ~~?????」
今日 けんじ2度目のびっくり顔だ
学校が終わりとりあえず
けんじの家に行くことになった
かのんちゃんがニコニコしながら手を握ってきた
「こうやって歩くの久しぶりだねぇ~♪」
ホント かのんちゃんはかわいい
さすがに 男子と一緒に帰るって嫌だから・・
かのんちゃんが居てくれてよかったぁ
「お兄ちゃんとも一緒に帰るの久しぶりィ~♫」
なんか 兄妹仲いいなぁ・・
あたし 一人っ子だからうらやましいやぁ
けんじの家はイチゴ農家で
出荷できないイチゴは おばあちゃんが
いつもジャムにしているらしい
「 ゆいちゃんよく来たねぇ~! 」
満面の笑顔で迎えてくれたけんじのおばあちゃん
「 ホント 奇麗になってぇ~!
けんじはなんも言わんからねぇ~」
ケッ と舌打ちしながら けんじは 家に入った
この 満面な笑顔久しぶりだぁ・・
シワクチャに笑った笑顔が
なつかしいなぁ・・
「今回のイチゴジャムも すごくおいしいから
さやちゃんに持っていてはいよ
さやちゃん たつおくんの世話で大変そうだからねぇ・・」
けんじのおばあちゃんとうちのおじいちゃんは同級生だったらしく
おじいちゃんと結婚しておばあちゃんとはすごく仲良くなったらしい
「 無理すんなよぉ~って言っても
さやちゃんはすぐ無理して頑張るからねぇ・・
甘いものでも食べて疲れとれよぉ~って言っといてなぁ~
ホント ゆいちゃんがこっちに来てよかったわぁ~!
さやちゃん たつおくんがあんなになってから
笑顔がなかったからねぇ~
ありがとうねぇ~ ゆいちゃん」
「・・ はぁ・・ 」
田舎のおばあちゃんは本当によくしゃべる
息つく暇もないくらい 話まくって
あたしは 返事くらいしか
できなかった。
でも・・ あたし ・・
感謝されるような子じゃないんだけどなぁ・・
「おいばーちゃん! ゆい 困ってるやろぉ!
そろそろ 話やめろやぁ!」
けんじが ため息つきながら部屋から出てきた。
「 はぁ~~ うるさかねぇ!!
久しぶりなんだけんよかろぉ~もん」
あたし・・ たぶん苦笑いしてるかも(笑)
「なら さやちゃんによろしくなぁ~。」
といって
5つの瓶に入ったイチゴジャムをくれた
「 けんじぃ~ ジャム重いからもっていきなよぉ~」
「はぁ~~~??? 意味わからん!」
そういいながらも けんじは 袋に入った瓶を持ってくれた
・・・・
沈黙が流れる
けんじの家からうちまで 徒歩10分くらいかなぁ・・
「 ・・ なぁ・・
おまえココ嫌いだろう」
ズバリな事言われて 息が詰まった
「 田舎すぎるけど 楽しいぞ 」
後ろ姿のけんじが 呟くように言った
「 そういやお前花火大会とか言ってたよなぁ・・」
「 やったら楽しくなるかもな! 」
言いながら振り向いて 黒い顔からにかっと白い歯が見えた
その時
突然
J-アラートが 公民館のスピーカーから鳴り響いた
「弾道ミサイルが発射されました。
頑丈な建物や地下に避難してください」
「 ここ最近よく飛ぶよなあ・・・」
「あたし・・この音嫌い・・」
「 だよなぁ~ きみわりぃ~よなぁ~ 」
ホントこの音嫌い・・
「しかし こののっぱらに
どこに避難しろっていうんだか(笑)」
確かに 広がるこの農地に隠れるばしょなんてどこにもない
「あったあった ここ ここ!」
そういって けんじは大きな木の下に隠れた
「 ばぁ~か そんなのだめでしょぉ (笑)」
こんな非常事態なのに なぜかケラケラ笑ってる自分がいた
けんじはニヤニヤしながら
「 ぉお! 久しぶりの笑顔!
やっぱしお前笑った方がいいわあ~!」
そういわれて 顔が熱くなった
たぶんあたし顔まっか だぁ!!
「ミサイル通過。ミサイル通過。先程のミサイルは、
九州地方から太平洋側へ通過した模様です。
不審な物を発見した場合には、決して近寄らず
、直ちに警察や消防などに連絡して下さい。」
警報は終わる頃 家に着いた
「 あらぁ~ けんじくんやないのぉ~
久しぶりやねぇ~」
おばあちゃんが出迎えてくれた
「 警報なったから 心配したわぁ~」
どもっ
と 一礼して けんじは 走って帰っていった
「 けんじくん男らしくなったねぇ~~ 」
おばあちゃんは
けんじを後姿をみながら目を細ませていた
「 明日の朝は ジャムパンにしようかねぇ~
美味しいのよねぇ~このジャム★」
おばあちゃんうれしそう
なんだか今日は疲れた
「 やっぱしお前笑った方がいいわぁ~~」
鏡に向かって笑顔を作ってみた
変な顔
でも・・ なんだかうれしいな・・
リビングでめずらしく テレビをみているおじいちゃんがいた
おじいちゃんが お帰りって言ってくれた
時々 普通になる時がある
でも
日に日に 普通の時が短くなる
急がなくちゃいけない気がする
おじいちゃんに おばあちゃんに
花火を見せたい!