7話 ふたたび
朝から胸騒ぎが止まらない
あの夢
又 あの感覚
絶対に又あの時と同じだ
「 ゆいちゃんどうしたの? 」
心配そうに なおが顔を覗きこむ
「 ...ごめん 大丈夫 」
にこって笑ってみたけど
あたし作り笑顔本当に下手だな…
朝からの体育大会の準備も終わり
開会式の為 生徒は運動場の端に並びだし
観覧する保護者や
地区の人達が集まりだしてきた
とりあえず
あの血をながして倒れていた少年は
まだ来てない
4つほど競技も終わり
リレーの為
自分のスタート場所に移動した時
あの少年が母親と地区のテントに
入っていくのが見えた
やっぱりいた・・・
あの夢は やはり・・
だとしたら!!??
でも まだお母さんと一緒だ
大丈夫!
とりあえず リレーで走った。
多分さっさと終わらせたい自分がいて
いつもより早く走って1位を取った。
準備があるので
準備小屋のテントに入りながらも
あの少年のいるテントを見張った
まだ お母さんと一緒にいるみたい・・
でも その近くに
少年と同じくらいの年の子たちが
集まってくるのが見えた
「 前田!
ぼーとせんで早くこれ持っていけ!」
「はっはい!!」
手渡された ポールを受け取り
運動場へ持っていき
又 あの少年のいるテントをみると・・・
いない!
集まってた少年達もいない!
さぁーーーっと
血の気が引いて
変な汗が流れる
とりあえずあの少年のいたテントへ走った
お母さんがいる
でも少年は見当たらない
運動場の周りを見渡す
どこにもいない
あっ・・・
そういえば
あの時
あの夢の時
先生が指さしてた場所!!!
急いで走った
先生達が駐車場として使ってる場所
確かあそこだった
「 ゆい! どこにいくんだ!」
同じ準備係のけんじが声をかけてきた
「 けんじもきて! 」
「はっ???」
「 どこいくんだよぉ!!」
そんな声かけに答えてる場合じゃない!
先生の駐車場に着くと
やはり あの子たちがいた
それも 崖みたいな所を登っている
一番 背格好が小さい少年が
みんなの後を追って
登っていく
私は無我夢中にあの子達が昇る崖の下へ
走って行った
そのとたん
「 あっ・・・・」
4mくらいの高さにいた
あの少年が足を踏み外した
私とけんじは 手をさし伸ばし
あの少年を2人で抱きとめた
「・・・っ・・ いてぇ・・・」
抱きとめた衝撃で
私もけんじも 体を強く打ち
腕がすりむいて血が出た
「 大丈夫か?」
けんじは あたしに声をかけた
「 う・・うん 大丈夫」
男の子は 落ちたショックで
意識を失っていた
息はしている
大丈夫だ。
少年と一緒だった
子供達が先生やあの子のお母さんを
呼んできたらしい。
「 ゆうすけ!ゆうすけ!」
あの夢の時のようにあの子のお母さんが
声をかける。
「・・・ ん・・・???」
少年の意識が戻り
何があったのかわからない顔をしている。
「 ゆうすけぇ!!よかったぁ!!!」
少年のお母さんが 強く抱きしめながら
大粒の涙をこぼして泣いていた。
よかったぁ・・・・・
すごくほっとして
力が抜けた
やはり・・・
あの夢・・・
わたし
未来をみたんだ